「50回目のファースト・キス 50 First Dates 」 2004年の作品。
ハワイはいいよなぁ・・・。(遠い目)
「深夜特急」で有名な
沢木耕太郎氏のインタビュー記事を以前読んだとき、世界中ありとあらゆる場所を旅した沢木さんが、一番好きな場所は?という質問に
「ハワイ」と回答していて驚いたことがあった。結局いろんなところを見て周ったけど、ハワイが一番日本人に合っていると思う、と答えてらした記憶がある。
いやー、分かるよ分かる!!私もかれこれ10年以上前に一度っきり行っただけのハワイだけど、行くまでは南国なんて全然興味なくて友達の付き合い程度の気持だった。それが一歩ハワイに足を踏み入れた途端、あの甘~いホンワリした空気に包まれ、すっかり虜。セカセカ急いでいる人が一人もいないのんびりとした緩やかな空気。空の高さ、海の色、そして
世界中で一番素晴らしい場所じゃないかと眩暈すらしたデューティーフリーショップ(笑)!!ビバ、ハワイ!この世の楽園!日本人の第2の故郷よ!!
何年も海外旅行から遠ざかっている私でも、唯一また行きたいと心から思うのがハワイなのです。
で、本題。そのハワイを舞台にしたラブ・コメ、それも
「ウエディング・シンガー」の
アダム・サンドラーと
ドリュー・バリモアのコンビが主演の映画
「50回目のファースト・キス」です。脱力して何も考えずに心地良く見るにはもってこいの映画、それでいてせつなくて泣ける、まさに私のストライクゾーン直撃な作品なのです!
1年前の事故がきっかけで記憶が一日しか持たない後遺症を患う
ルーシー(ドリュー・バリモア)と、そんなルーシーに一目惚れした水族館勤務の
ヘンリー(アダム・サンドラー)。
ルーシーは自分の病気のことを知らず、夜眠るとその日の記憶をなくしてしまうものだから、翌日ヘンリーに再会しても彼のことをまったく覚えていない。
ルーシーの父親や弟、カフェの女主人とその相棒(姉弟?母子?よくわかんないけど
小錦そっくりの男女)たちの努力により、ルーシーは本人には分からないかたちで庇護され、毎日同じ日を繰り返して生きている。彼女にとっては朝起きるといつも10月某日(事故に遭った日)であり、本人は時間が経っていることにまったく気付かない。けれども、ヘンリーがルーシーに恋をしたことがきっかけでそんな日常が破られるときがやってくる。
ヘンリーという男は、アラスカへ海洋調査に行くことを夢見ながら、観光客の女性をひっかけてアバンチュールを気楽に楽しむプレイボーイ。でも最初は正直、
「なんでアダム・サンドラーがモテモテ男なのさ」と首をかしげてしまった。どう見てもイケメンじゃないし。だけど映画を見ていて気付いた。ほんとにモテる男の人ってルックスの良さじゃなくて、女性へのマメさとか優しさ、そして相手を楽しませるユーモアなんかを持ってる人なのよね。で、ヘンリーはそういうタイプ(という設定)。
地元の女の子とは後腐れあるからつきあわないと決めていたヘンリーが、ルーシーに心を奪われ、彼女の気を引くために来る日も来る日もアタックを繰り返すその根性はなかなかのもの(仕事の方は大丈夫かと聞きたい気もするが)。どんなに適当に生きていた人間でも、真実の愛に出逢えば生まれ変わるという典型的ラブストーリーだけど、イヤミなく見ていられて楽しい。
ルーシーを守るために毎日涙ぐましい努力を続ける父親と弟が、またイイ!特にお父さん(上の画像の右の人)、海の男らしいタフさと、娘への愛がしみじみと胸にくるのよ~。ちなみに筋肉フェチの弟役が
ショーン・アスティン(同画像左)なのにビックリ。この人、最近では
「ロード・オブ・ザ・リング」でお馴染みだそうですね。ネタが古い私は、「
グーニーズの子役じゃーん!ひえー、こんなんなっちゃってー!」と反応しました。(いくらなんでも古すぎ)
前半は本当にお気楽なユル~いコメディって雰囲気なんだけど、中盤ルーシーが自分の病気を知ったところから物語は急速にせつなさを帯びていく。ヘンリーは決して諦めずに何度でも彼女との出逢いを繰り返し、彼女が次のステップに進める手助けをしようと試みる。
父と弟が真実を知らせないことでルーシーを守ろうとしたのに対し、ヘンリーは毎日毎日真実を知らせ続け、彼女の心をほぐそうと努める。こういうけなげでストレート、かつユーモアと優しさを忘れずに愛情を投げかける役柄は、ハンサムな俳優よりアダム・サンドラーみたいなちょっと三枚目寄りのタイプのほうが、よりリアルだし女心にグッとくるのが不思議ですね(笑)。(お約束、アダムの弾き語りシーンもあり。)
ルーシーを演じるドリュー・バリモアは、さすがにちょっと年をとったものの、相変らずマシュマロみたいな可愛らしさと陽気さが魅力的。この子は多少お下劣なギャグなんかもオッケーなイメージがあって(それでいて下品にならない)、なんだかんだ言ってこういう女の子が一番好かれるんだろうなぁというヒロイン役を好演してます。
そしていくら二人が毎日出逢いを繰り返し愛情を抱きあっても、翌朝にはすべてがチャラになってしまうという設定が続き、これはどう決着をつけるのだろうと思っていたら、なるほどそういう展開にきたか~と納得。わざと忘れようとすることで、逆に潜在意識に刷り込まれる結果になるという、人間の記憶の不思議さを上手く生かしたハッピーエンド。こういう持って行き方、私は結構好きです。ご都合主義というかある種のファンタジーとも言えるけど、それがロマコメのいいところなのだ!こういうのでガンガン泣けるのだ私は!
で、お約束の脇役がやっぱり今回もグー!なんと言っても、ヘンリーの友達でハワイアン男の
ウーラ役の
ロブ・シュナイダーの怪演は素晴らしいです(笑)。
←ルーシーを真似した女装姿には心底シビレました。キモい!素敵!
それからヘンリーの同僚役で男のようなルックスの女性が出てくるんだけど、この人がまたスゴイ(笑)。イカツイ(ホントはすごくキレイな人らしいんだけどね)。そしてなんと言っても嬉しいのは、特別出演的登場の
ダン・エイクロイド。なんて豪華な脇役でしょ!つくづくコメディ映画って「脇が大事」だよなぁと思いました、今回も。
ハワイの景色はやはり美しくて、見てるだけで癒されます。はっきり言ってこの映画は、舞台をハワイにしたから成功したと言っても過言ではないね。旅行ガイドに出てくるような観光スポットはあまり出てこないんだけど、ヘンリーが働いている水族館が、あの
シーライフパークなのがご愛嬌。観光客は大抵行くよね?(私は雨に降られて寒かった!ので、あそこの売店で厚手のパーカーを買ったという思い出があるのだ。あのパーカー、何年も重宝したのよねぇ・・・。)水族館が舞台になるのでキュートな海の生き物たちがたくさん出てくるのも嬉しい(ちょっと汚いシーンもありますが)。
江ノ島水族館の故・みなぞうくんもビックリのパフォーマンスだ!
記憶が短時間しか持たないという設定や、同じ日をひたすら繰り返すというストーリーは、最近の映画や小説の流行りなんでしょうかねー。その手の映画だとやっぱりビル・マーレイの
「恋はデ・ジャブ」が傑作だと思うんだけど、あっちは主人公が病気なのではなく、運命のいたずらに翻弄されつつその状況下で成長していく部分に焦点を当てた物語になっていた。一方こちらの「50回目のファースト・キス」は、事故による障害という拭えないハンデを背負った状態で、いかに(どういう形で)愛が成就され、彼らなりの幸福を手にするかが描かれている。「恋はデ・ジャブ」が、見終わったあとにほのぼのとハッピーな気分になるのに比べ、こちらは彼と彼女の愛の形、それを手助けする周囲の人達の優しさが伝わってきて、なんともせつないハッピーが待っている。本当に愛する人のためなら、いかなる障害も努力次第で受け入れることができるんだよ、というメッセージにも思え、暖かな気持ちになれる。
こういう映画を見ると、やっぱりアメリカって映画の国だな、なんだかんだ言ってアメリカ映画には敵わないよなぁ・・・と、しみじみ感じてしまうのでした。オススメです。
それにやっぱり見終わったあと、ハワイに行きたくなること間違いなし!