メグ・ライアンと
ヒュー・ジャックマンが共演した
「ニューヨークの恋人」(原題:KATE & LEOPOLD)。なんとなくありきたりのお手軽恋愛映画のような気がして食わず嫌いだったんだけど、先日
the big blueさんがブログで取り上げてらっしゃるのを見て、俄然興味が湧いてしまいました。で、見てみたらこれが意外と掘り出し物。傑作でもすごい感動作でもないんだけど、家でのんびり力を抜いて見られる、正統派ロマンチックコメディでした。
19世紀のニューヨークの貴族
レオポルド(ヒュー・ジャックマン)が、自分の屋敷に紛れ込んでいた謎の男の後を追ったことがきっかけで、現代のニューヨークへとタイムスリップしてしまうのが物語の発端。21世紀のニューヨークで彼がで出逢うのが、仕事一筋に生きるキャリア・ウーマンの
ケイト(メグ・ライアン)。ちぐはぐな二人が一緒に過ごすうちに恋におちるものの、生きてきた時代の違いからくる衝突に悩み・・・という、もう思いっきり先の読めるベタで都合よすぎな展開。
でもだからこそ、安心して見ていられるのです。そこそこ笑えて、そこそこロマンチック。ニューヨークの美しい街並みと室内のインテリアで目の保養。年を重ねても相変らずオーバーアクト気味ながらキュートなメグと、ありえないほど王子様キャラなヒュー・ジャックマンに適度にうっとり。
今年のアカデミー賞もそうだけど、最近社会派の深刻な映画がすごく多いですよね。そういう映画も嫌いじゃないけど、自分がちょっとお疲れ気味のときや、あまり深く考えずにリラックスして部屋でくつろぎながら何か見たいな~っていうとき、この手のライトでちょっとせつない恋愛コメディが一番心地良いと思います。しかもこの映画、女性ならヒュー・ジャックマンのナイトぶりにシンデレラ願望が満たされるし、男性なら「女性にモテるにはどういう振る舞いをすればいいのか」を学べるという、なかなか使える映画(?)なのです!でも、シニカルでリアリストな人には決しておすすめできません。だって甘すぎるもん。(笑)
メグ・ライアンはこの手の役は得意中の得意なので、いつものようにチャーミング。メグだから似合うパツッとしたストレートヘアで、肩肘はって頑張ってるけど本当は繊細なケイト役を好演してます。ケイトはCMプランナーのような仕事をしてるんだけど、その仕事を巡ってレオポルドと言い合いになるシーンがあるんです。美味しくもない食品を、嘘の広告で売りつけるケイトの仕事を詐欺まがいだと批判するレオポルドと、それが私の仕事なんだからやるしかないと反論するケイト。どちらの言い分も最もなシーンなんだけど、ここでケイトが
「私はずっと働いてきてラクしたことなんて一度もないわ!」と叫ぶのです。ここは結構、グッときました。切実です。いやー、私は一度か二度か三度くらいはラクしたことあるけど、でも私なりに頑張って働いてきたからケイトの気持ちが痛いほど分かるわー!ってな感じです。たぶんサラリーマンのお父さんも痛いほど共感するシーンのはずです。労働者、万歳!
でもやっぱり今作の一番の見所はヒュー・ジャックマンの王子様ぶりでしょう。実は私、ヒュー・ジャックマンってあんまり興味ないタイプだったんですよ。たしかにハンサムだろうけど、なんか面白みのない二枚目に思えて。あと
トニー賞でキンキラのパンツはいて腰振って踊ってる人のイメージが強くて。※下欄おまけ画像参照
でも今回この映画で彼を見て、単純な私は惚れそうになりましたー。この人のソフトで甘い雰囲気が、王子様役にぴったりハマってるんですものー。
貴族の扮装のまま現代のニューヨークを歩き回るものだから、道行く人は「なんだこのコスプレ男は」という驚きの目で見てるんだけど、当の本人はそんなことお構いなし、目にするものにいちいち子供のように口を開けて驚いて大騒ぎ(←結構カワイイ)。だけどなんといっても貴族。洗練された紳士ゆえ、女をレディーとして扱い、気品ある振る舞いを見せるものだから、否が応でもかっこよく見えてしまうのよね。セントラル・パークを白馬で駆け抜けちゃうし(かっこいいけど場違いで笑える)、相手に誠意を伝えたいときは心を込めて手紙をしたためる。時代錯誤でありながら、現代人が忘れてしまった真心と品位のようなものを、ヒュー演じるレオポルドが体現してくれるので、見ているこっちもちょっと優雅な気分になっちゃったりして。
この手の映画で重要なのが脇役キャラだけど、今回は有名な俳優はほとんど出ていなくて脇役も地味目。でもケイトの元恋人でタイムスリップのきっかけを作る発明家(?)のスチュアートと、ケイトの弟で売れない役者のチャーリーの二人は、冴えないながらいい味出してます。ケイトの恋を応援する姿はちょっとホロッとさせるしね。
結末は「おいおい、そんな簡単にいいのか~?後々大変じゃないの~?」と思わず突っ込みたくなるものの、ロマンチックコメディだし、難しいことは置いといてこれでいいのよね、と納得。いーのいーの、楽しんだもん勝ちよ。
要するに、どんなに女が強くなったと言われる現代でも、ナイトのように優しく守ってくれたら女はコロッといっちゃうわよね~、やっぱり愛に生きることって大切よね~という映画です、わかりやすく言うと。ケイトの最後の勇気は、愛に目覚めた女の強さってことでエールを送りたいと思います。
ちなみにこの映画を見ていたら、頑ななヒロインの心を優しい王子様が包み込んでほぐしていくという展開に、妙な既視感を抱きました。「これってなんだっけ??」と考えていたら、思い当たったのが
「冬ソナ」のミニョンさん(ヨン様)。そこのあなた、笑わないように。あの、現実にはありえなそうな王子キャラは、この映画のレオポルドに匹敵するかもしれないですよ。(ホントか)
「はいからさん」の少尉が好きだった人も、この手の映画はツボだと思われます。私のことなんだけどさ。
とういうことで。
乙女の皆さん!心がガサガサした日には、こんなスイートな王子様映画でうっとり現実逃避しましょう!!私もスイートに生きるわ!!
☆今日のおまけ画像☆
・・・どうにも止まらない