最近新しいプロジェクトに片足突っ込んで雑用に追われているので、なんだかやたらドタバタしている。それでもやる気まんまん、かかってこいよ!状態ならいいんだけど、
どうも仕事に対してはダウナーな近頃。遅く来た5月病かしら。ハメハメハ大王の子供になって、風が吹いたら遅刻して雨が降ったらお休みしたい気分。そんなときってありますよねー誰でもねー。しょうがないよねー。人間だもの。
それでもいい年のオトナになれば、適当に息を抜くコツも覚えるし、上手くバランスとって煮詰まらない術を身に着けるから、それほどしんどくもならないけれど、(あ、時々なるけど)
これがもっと若いころだと、仕事にしろプライベートにしろ、壁にぶつかるともう逃げようがなくなって、ダークサイド一直線になったことも数知れず。
昔、そうやって追い詰められたころ、私はひたすら音楽に逃げた。といっても、ただやたらめったらCDを買い漁り、ライブに通うというだけのことだったけど、CD1枚買うごとにストレス10%削減~くらいの勢いで、とにかく買いまくって聞きまくって、ウォークマンで外界をシャットアウトしてその音楽の世界に自分を閉じ込めていた。
そういう、メンタル引きこもり気味だった時期に、ふとジャケ買いをしたのが
テレンス・トレント・ダービーの
「SYMPHONY OR DAMN」だった。
人との出逢いと同じで、たまにCD1枚でもいやに運命的なものを感じることがある。
テレンスのこのアルバムを初めて耳にしたときの私は、思いもかけないところでオアシスを見つけたと本気で思った。
このアルバムの実質的な1曲目と言っていい
「SHE KISSED ME」は、そのときの私を、やっと行きたい領域に連れて行ってくれた音だった。ああこの人は私の味方だ!とさえ思った。あのときの安堵感はなんだったのだろう。今でもよく分からない。
テレンスはミュージシャンとしては華々しいスタートのわりに、その後はあまり恵まれていたとは言えず、むしろ誤解され叩かれ、ひっそり消えていったように世間には思われている。
「孤高のカリスマ」と呼ばれた彼に、決してひとりきりじゃないのに孤独をどうしてもぬぐいきれなかった当時の私は、ものすごいシンパシイと憧れを抱いたものだ。
しかし、テレンスはカリスマであるだけでなく、超ナルシスト、そして奇人変人だった。その後の彼は金髪大仏頭になったり、しばらく鳴りを潜めていたかと思ったら、
「サナンダ・マイトルーヤ」と改名したり、さすがテレンスとしか言いようのない、超独自路線をひた走っている。なので、今の私はもうついていけてない。さよならテレンス。。。(号泣)でもアルバム出ればまた買ってあげる。(はーと)
93年の12月、武道館で見たテレンスのライブは、お世辞抜きに本当に素晴らしかった。
歌だけでなく、彼のパフォーマンスそのものが、「なんか今とんでもないもの見せられてるよね、あたしたち」って思わせるほど、情熱のかたまりだった。
「NEON MESSIAH」(ネオン・メサイア。なんてかっこいいタイトルだ)が演奏されていたとき、武道館の中にたしかに「音楽の魔物」がいた。音の洪水と照明のせいで、クラクラしていたせいかもしれない。でもまさに「興奮の坩堝」と化した場内をふと見渡した時、理屈では説明できないけれど、音楽の魔物がここに降りてきた、とやけに冷静に確信した自分を覚えている。
たぶんもうあんなライブは見れないような気がする。