リドリー・スコットってよっぽど
ラッセル・クロウがお気に入りなんでしょうか。
マーチン・スコセッシが
ディカプリオをお気に入りなのと似た感じ?
ラッセルも
デンゼル・ワシントンもあんまり興味ない私なので、普段ならスルーしがちなタイプの映画
「アメリカン・ギャングスター」。でもこれは前評判も高いし、なんたってリドリー・スコット。結構期待しながら観て参りました。
1970年前後のニューヨーク。物語の主人公は二人。
黒人マフィアのお抱え運転手から、麻薬王へとのし上がった
フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)。
マフィアよりもタチの悪そうな汚職警官だらけの警察組織の中で、不正を決して許さずその正義感ゆえ周りから疎まれる刑事
リッチー(ラッセル・クロウ)。
映画は二人のそれぞれの日常をスピーディーに描きながら、ほとんど二人を交差させることなく進みます。純度100%のヘロイン売買の黒幕を追って、ついにフランクの存在を突き止めるリッチー。二人がいよいよご対面する場面は、映画ももうほとんど終盤の頃にようやく!という焦らせ方(笑)。
このご対面シーンがなかなかシンプルでいいんですよ。もっと大袈裟に派手な演出にしても良さそうなところを、あえてあっさりした見せ方にすることで、返って「おおーー・・・ついにご対面じゃーん・・・・」って感慨深くなるような。そしてやっぱりここで
雨を降らせるのがリドリー・スコットなのね(笑)。
善と悪、両極端の二人の男を描いていながら、どこか共通する信念のようなものが見え隠れして、単純なワルと正義には見えない作りになっているのがミソですよね。
フランクのほうは、たしかにワルなんだけど、見てると不思議と憎めない(笑)。悪の道にいても、彼なりの美学があるような生き方に見えてきてしまう。演じてるのがデンゼル・ワシントンだというのも大きいでしょうね。
一方のリッチーは、
「えーー?ラッセル・クロウが不正を許さないマジメな警官なんてウソくさーい」と思ってたら、案の定どうしようもない女ったらしで、それが理由で家庭が崩壊し、元妻と子供の親権を争っているという設定。そーよね。ラッセルだもんね、そりゃそうよね(笑)。
見ているうちに、なんとなく去年の
「ディパーテッド」を思い出しました。
善と悪それぞれの立場にいる二人の双生児のような主人公たちという設定からしてなんか似てるでしょ。「ディパーテッド」のほうがやたら凝ってる作りにしてた感じがあるけど(ていうか
ジャック・ニコルソンがコテコテだったわけで)、こっちはもっとダイレクトに飾らずにくる感じですかね。リドリー・スコットの映画ってわりといつも内容はストレートですよね。私はこっちのほうが好きですね。上映時間も長いけど、テンポのいい演出で飽きさせないし、役者二人もオトナだし、比較的直球勝負な描き方で素直に面白いと思える作品でした。
ラストのデンゼル・ワシントンのちょっと戸惑ったような表情がまたオツで(笑)。でもこの映画、
エンドクレジットが流れた後、最後におまけのワンカットがあったんですって!ワタクシ不覚にも途中で席を立ってしまい、見逃しましたーーー!!!あうううう。
それから、エンドクレジットのキャストの名前を見てたら、
キューバ・グッティングJrとか、
アーマンド・アサンテとか出てました。でも見てる間まったく気付かなかった私って一体・・・。そうそう、
「グーニーズ」に出てた
ジョッシュ・ブローリンっていつのまにかすごいオッサンになってたのね・・・。(↑上の写真で白スーツにヒゲのオッサン)
あ、あと関係ないけどやたらにオナゴの裸が出てくる映画でした(笑)。男性はそっちのお楽しみも・・・って違うか。
これ実話に基づいてるそうですね。ひえー、こんな凄腕の麻薬王がいたなんてねー。ワルも正義の味方も、頭のイイ奴がのし上がるんですね、やっぱ。
そして違う世界にいる同士でありながら、似たような一本信念が通った生き方をしてる同士というのは、何か心が通じ合って一種のシンパシイを感じあうものなんですね。男ってなんかカッコイイな(笑)。
それにしてもラッセル・クロウの体型はどうにかならんのか。いいのか、あれで。