いやー、4月の慌しさに翻弄されていたら(?)ついうっかりブログ更新を怠ってしまいました。えへ。
さっそく今日のテーマです。ズバリ、最近文庫になった
東野圭吾さんの
「幻夜」ですわよ!やっと読んだんですわよ!
~「白夜行」の世界が蘇る!~と噂の本書。続編らしいとか、白夜行の2部だとか、いや違うとか、巷ではいろいろ言われてるようですが、著者ご本人も明言はしてらっしゃいませんね。でも読み勧めていくと、
まあ「続編(のようなもの)・・・なのかな、だろうねえ」という感想を誰もが抱くと思います。でも全然別物の独立した作品としても十分楽しめます。一気読み間違いナシのエンタメ作品(と、あえて言わせてね)です。分厚いけど面白いっすよ~。
「白夜行」はドラマにもなったし小説もバカ売れしたので、ストーリーをご存知の方も多いはず。私はもともとこの小説が大好きで、主人公の男女の内面を一切描かない手法のクールさにゾクゾクドキドキしながら夢中になり、読み終わったあとはある種の放心状態のような怖さとせつなさと哀愁を感じたものでした。
一方ドラマの方は、主演の二人が幼くて小説のイメージと合わない上(でも好演!)、小説とは逆に二人の感情をこれでもかと丹念に描いた演出が若干センチメンタルに過ぎたものでした。でも実は私、ドラマ版「白夜行」、大好きだったんですよ!いやー、あのドラマ視聴率イマイチだったらしいけど、私泣いたわー・・・。(過去にちょこっと
記事アリ)
で、今回の「幻夜」。どうしたって「白夜行」と比べてしまいます。
今回の主人公は、阪神大震災のさなか、衝動的に殺人を犯してしまった
雅也と、それを偶然目撃した
美冬。二人は運命共同体のように、様々な手段を使って自分たちの幸福のために危ない橋をわたっていくわけです。「白夜行」の
亮司と
雪穂を思い出させるカップリングです。
でも、似ているようでぜーんぜん違うこの二組(笑)。 「白夜行」と違って、「幻夜」は雅也の側の内面が描写されていますし、そのぶん謎は美冬一人に象徴されている感じです。
「白夜行」は、読み始めた途端ギュッと心を掴まれるような、非常に上質のミステリーでした。ゾッとするほどクールでドライな文体でありながら、終盤に向かうにつれてどうしようもない悲しみを感じさせるダークな愛の物語だったと思います。
で、この「幻夜」なんですけどね。同じような手法をとりつつ、「白夜行」よりもっと大衆的というか、くだけた風味。もっと失礼な言い方しちゃうと、いい意味で下世話な感じ!(笑)
わざとなんでしょうかねー。それとも「プレ○ボーイ」誌に連載されてたせいなんでしょうかねー。なんかこう・・・エログロ風味が増してるし(笑)。
いや、面白いですよ!読んで損はしないの!でも「白夜行」ほどの重たい深みは感じなかったんですよね。でもそれは仕方ないです。仕方ないというのは、両方読んだ方なら意味が分かっていただけると思うんですが。
雪穂と美冬。二人のヒロインを比べると、雪穂は同じ悪女でもどこかにまだ人としての心が残っていた気がします。それはたぶん亮司という存在があったから。でも美冬ははっきり言って・・・(以下省略)。それに雪穂は自らの手は基本的に汚さないというか、頭の中ですっごい恐ろしいこと考えていても、そんな様子はおくびにも出さない、外見はあくまでしっとりしたエレガントな女性というイメージがあったけど、・・・美冬はねー、すっごいよー。何がすごいってねー、これ以上書くのはやめとくけどねー。
というわけで、この小説、何を書くにもネタバレしちゃいそうなので、非常に感想が書きづらいです。なのでここまでにしておきます。「白夜行」と「幻夜」、良く似てるけど性格が結構違う双子のような2小説です。「幻夜」に対する私の正直な感想は、「読んで良かった!けど読まずにいたかった気持ちもちょっぴり!」というところでございます(笑)。えへへ。(でも本当に面白いから読んでね♪)
「白夜行」には、哀愁とせつなさがある。「幻夜」は、哀愁もせつなさも美冬がぶっ飛ばしてくれちゃう。そんな感じ?!(違うか)
で、ネタバレしまくりの私の本音を下にこっそり書きますので、既読の方、もしくは読んでないけどネタバレでオッケーの勇気ある方のみ下をクリック!
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「幻夜」を読んで思ったのは、
「雪穂!なんでそんなになっちゃったんだよぉぉ!!」
美冬=雪穂だったのですね・・・。しかも悪の整形マシーンと化した血も涙もないサイボーグ女になってしまったとは・・・ゆ、雪穂ちゃん・・・どどどうしてなのーーー!!!
というわけで、美冬=雪穂はあまり歓迎したくない私です。
だって、美冬ってすっごい、
えげつないっすよ!あけすけですよ!いいんですか、あれで?!
いえね、小説の展開を面白がり、美冬のキワモノぶりに辟易しつつワクワクしていた私ですが、正直どうも雪穂が女としてレベルダウンしたようで、そこがガッカリ。
それに、雅也には同情する気がどうも起きず、そのバカっぷり、ヘタレっぷりに「あちゃー」な気分でしたよ。何、あんた。たらしこまれて騙されて利用されて人殺しまでさせられて、なのに「俺が美冬を守る!」って・・・・鉄拳食らわせたくなったわ。あんたを見ていて、いかに「白夜行」の亮司がアッパレだったかよーく分かったわよ・・・。やれやれ。(言いすぎ?)
そうなのです。「幻夜」を読んだことで改めて分かったのは、「白夜行」の雪穂と亮司の絆は他の誰にも代えられない特別なものだったということ。
亮司が死んだときに、おそらく雪穂も死んだのです。わずかに残っていた雪穂の心が死んだのです。だから、「美冬」という世にも恐ろしい悪のサイボーグとして生まれ変わり、悪魔のように生きる道を選んだのです。美冬が邪悪であればあるほど、雪穂にとって亮司の存在がいかに大きかったか、それが伝わってくるではありませんか!(・・・・って、この解釈、変?ま、私の思い込みですから)
ここまで来たら、東野センセイにはぜひ3部作としてあと一冊書いていただきたいですよね。今度は雪穂=美冬の一人称で、彼女の本音をガンガン書きまくるのもいいかも。悪のサイボーグが初めて語る衝撃の真実!!ってな感じで、大団円を迎えていただきたいものです。ついでに「白夜行」の笹垣刑事が復活して美冬を追い詰めてくれるの希望♪
ちなみに私、「白夜行」を再読しはじめました。ドラマを見てしまった後に改めて読み返すと、笹垣刑事のシーンで武田鉄矢さんの顔が浮かんでしまい困っています(笑)。ドラマもまた見たくなっちゃった。