一体何がここまで私の心を捉えたのか自分でも説明できないのだけれど、
どうしてももう一回、劇場のスクリーンで見ておきたくて。
2回目鑑賞行ってしまいました。
「ブロークバック・マウンテン」。
もう終わってしまうからね。DVDではあの壮大な美しい自然風景はダイレクトに堪能できないと思いまして。何よりもあの風景を大画面で見たら、また癒されそうな気がしたので。
(ちなみに2回どころか4回も5回も観にいっているリピーターの方もいらっしゃるようなので、私なんぞまだまだです。)
二度目の鑑賞というのは、ストーリーが分かっている分、落ちついて見られ、細部にまで目が行き届く利点がある反面、初めてのときの感動や衝撃が得られない、薄れてしまう、というマイナス面もあるもの。でも
「BBM」に関しては、余計な心配でした。
ああ、こんなところに伏線があったんだ、ここのセリフはこんな意味があったんだ、こんなところ見逃してた!など、改めて発見したところも多かったうえ、二度目に見るブロークバックの情景は、ストーリーを知っているからこそ余計に美しくせつなく輝いて見えたりして。そして二度目に見ると、なんてあっけないほど早く過ぎ去ってしまう、幸せな楽園での日々。
二度目にて初めて気付いたんだけど、
イニスが冒頭で登場するシーン。彼の手荷物は
茶色い丸めた紙袋一つ。それだけで持ち物が足りてしまうほど貧しげで、バッグなんて大袈裟なものは必要ないほどシンプルな生活。
この、イニスが手に持っている茶色い紙袋、という光景は、ラストにイニスが
ジャックの家を訪れた際に「例のもの」をいただいて帰るシーンの伏線になっていたのだ!前回は気付かなかった・・・。ニクイわ、
アン・リー監督。
それからこうやって再度見直してみると、実はジャックは最初からイニスを意識していたらしいのがよく分かるのだ。
例えば、イニスがジャックのそばで無防備に素っ裸になって体を洗うシーンがあるのだけれど、初めて見たときはジャックはほとんど関心を示してないように私には思えた。ところが今回見直してみたら、明らかにジャックはイニスが裸でいることを意識していて、でもどうしてもそちらに視線を向けられず、伏目がちに感情を押し殺しているような演出がされているではないか!(すっごくさりげなくて繊細な演出だけど)
あー、なんてデリケート。なんて深い。なんてせつない。ヒリヒリする。
夜、山の上から、麓にいるイニスのテントの灯りを見下ろすジャック。一方、昼間、雲行きが怪しくなってきた空を見上げ、ジャックのいる山上を見上げて気にするイニス。直接的ではないけれど、本当に些細な、でも恐ろしく丁寧な演出のひとつひとつに気付き、なんて作り手の愛情が籠められた作品なんだろう、と改めてじ~~んとしてしまった。
そして、やはりとにかく音楽がすんばらしい!!
二度目ということで余裕を持って見なおしてみると、それぞれの妻に対しても同情や愛着を覚え、その演技にも改めて関心した。特に前回「変だよ」と指摘してしまった
アン・ハサウェイが、意外に良い演技をしているのに気がついて反省(笑)。ただのアイドル女優かと思っていたけど、これからちょっと楽しみな人かも。
あと、ジャックの両親、いいねー。特にお母さん。お母さんのイニスを見る目が・・・。
それにしても。二度目でも泣けるもんですな~。さすがに初回のときほどダーダー泣きにはならなかったけど、やっぱりラストのほうはどわ~~っと涙が落ちる落ちる。そして極めつけは、ラストの窓からの風景に被さるように流れるメインテーマ曲
「THE WINGS」と、続いてエンドロールで流れる
ウィリー・ネルソンの
「HE WAS A FRIEND OF MINE」。この歌詞がもう、これでもか!のトドメとなって涙腺決壊(またかよ)。
なんなんでしょうねー。私のオールタイムベストの
「ピアノ・レッスン」をも凌駕するこの映画。
この先いつまでも、私の心にブロークバックの山は美しく生きつづけるに違いありません・・・。