新年あけましておめでとうございます。
昨年中は本当に本当に皆様にはお世話になりました。わたくし感謝のあまり、本気で
「神様、私にブログというものを教えてくださってありがとう!これからもよろしくお願いね!」と夜空に祈ってしまいましたことよ。
さて皆様、初詣はお済みですか?おみくじは引きましたか?わたくしは地元の神社で引いたところ
「中吉」でした。年の初めとしてはなかなかいいんじゃないでしょうか。
「今は努力してじっと時を待て、次第に幸福が訪れるぞよ」ってな内容でした。なんたって鎌倉の某八幡宮で
「大凶」を引いたことがあるわたくし、
「何が出ようと怖いもんなしじゃー!」とは思いつつ、やっぱり「中吉」で嬉しゅうございました。そうそう、おみくじは、
大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶→大凶の順だそうです。ちなみにわたくしに「大凶」のお告げをくださった某八幡宮の巫女さんによると、大凶の確立は「50本に2本」だそうです。ある意味、すごいですよね、大凶引くのって。
新年を迎えて最初に、今年の指針になるような幸福な映画を一本見ようと思い立ちました。
で、本年度最初に見る作品として選んだのが、アメリカではクリスマスシーズンお約束の古典映画とされる
「素晴らしき哉、人生!」です。(正月に見てもいいわよね、別に)
実は私、この作品を見たことがなかったのです。でもこの作品はアメリカでは映画学校の生徒が必ず教材として見るほど、映画としての基礎を踏まえた名作であると聞いたこと、そして以前に占星術師の
鏡リュウジさんの本に、この映画の監督
フランク・キャプラが(私と同じ)牡牛座で、非常に牡牛座が求める幸福感というものが詰まった作品だと紹介されていたことも頭の片隅にあって、ずっと気になっていた作品なのです。
ストーリーを簡単に説明します。
ジェームズ・スチュアート扮する善良で正義感の強い青年
ジョージ・ベイリーが、クリスマスイブの夜、人生最大の危機に瀕し、絶望から自殺を図ろうとします。それを止めようと地上に降りてきたのが、まだ翼をもらえない
二級天使のクラレンス。ジョージの守護天使です。クラレンスは空の上から、ジョージの子供時代からこれまでの人生を見てきました。
ジョージはどんなときでも、他人のために行動する優しい心を持った人間です。才能豊かで、世界を旅して大きな仕事をして成功を収めるという野心ももった陽気な男です。けれども、人生の節目節目、彼の夢が今こそ叶おうという瞬間に、何度も何度も彼はトラブルや不運に見舞われ、自らの夢をあきらめ、人のために尽くして生きてきました。ところがクリスマスイブの日、会社のお金が紛失する事件が発生し、絶体絶命の危機に陥ってしまうのです。
「もう死ぬ以外に道はない、自分なんて生まれてこなければ良かった。」そう考えるジョージに、天使のクラレンスは
「だったらきみが生まれてこなかった場合の世界を見せよう」と言うのです。果たしてジョージの見た世界は・・・。
と、大体こんな感じのストーリーなんですけど、やっぱり古典の名作といわれる作品はいいですね。素直に感動します。素直に透明な涙が出ます。もうね、新年最初に見るには打ってつけ!私もジョージみたいに生きなくちゃ!って襟を正しちゃいました。
ジョージって本当に不運なんですよ。大学に行くための資金も自分で働いて貯めて、さあ町を出るぞ!ってときにお父さんが亡くなって会社を継がなきゃいけなくなる。
弟を代わりに大学に行かせ、彼が戻ってきたら会社を任せてそれから自分が大学に行こうと決めていたのに、卒業して戻ってきた弟は新妻を連れていて、しかも妻の父の仕事を手伝う話までまとまっている。結局ジョージは何年も夢見ていた大学をあきらめ、会社を離れられなくなってしまう。
幸せな結婚をし、新婚旅行に行こうとしたその途中、会社の大トラブルが発覚、旅行資金を穴埋めに使ってしまう。
世界を股にかけることを夢見ていた男が、一度も町から出ることができないわけです。ジョージも人間だから、ふてくされたりやけになったりするんだけれど、美しく賢く優しい妻の愛情あふれる助けもあって、町の人達のために親身になって働くのです。(この奥さんがなんといっても素晴らしい!苦難もアイデアで楽しさに代えてしまう才覚。こういう人を良妻賢母というのでしょうね)
金銭トラブルでボロボロになり、人生に絶望し自分の命なんて意味がないとすら思いつめたジョージ。そんな彼に天使が見せた
「ジョージが生まれていなかった場合の世界」は、ジョージに
「いかに自分ひとりの存在が周囲の人たちに影響を及ぼし、人生を変えていったのか」を思い知らせます。家族だけじゃなく、町の人達みんなが、多かれ少なかれジョージのおかげで幸福を味わい、笑顔で人生を送ってきたということを知るのです。
そしてラストで生きている喜びを改めて知ったジョージのもとに、奇跡が起きます。いえ、奇跡ではないですね。すべてジョージのこれまでの生き方、人への優しさ、誠意が、ジョージへと跳ね返ってきただけなのです。
もちろん映画だから、ちょっと極端にドラマチックな例ではあるけれど、私たちの日常でも、同じようなことが言えると思います。ジョージほどではなくても、誰でも一人一人の存在が、他人の人生に彩りを与え、誰かを助け、影響を与え合っているはずなんです。でもついついそういう大切なことをみんな忘れてしまう。だから何かに傷ついて絶望したとき、
「自分なんて生きていても意味がない」「自分がいなくなっても誰も悲しまない」「生まれてこなければ良かった」なんて思ってしまうことがあるんですよね。でも絶対そんなことはない。どんな人でも必ず誰かに影響を与え、誰かの気持ちを救っている瞬間があるんです。相手は犬や猫かもしれないし、植物かもしれないけど(笑)、それでもその人がもしもいなかったら、きっと少しだけでもこの世界は今とは違っていたはず。人ひとりの存在って本当に重い。そういう生きていくうえで一番基本的なことを、この映画は改めて教えてくれるんです。
以前、悩み事を抱えていた友人から後になって言われたことがありました。
「あのとき、あなたが言ってくれた○○○という言葉に本当に救われた。」・・・・すみません、言った本人、覚えてません。
「え?あたしそんなこと言ったっけ?」って。(ほんとすいません)それくらい多分何気なく口にした言葉だったと思うのです。それでも悩んでいる真っ只中にいた友人は、私の無責任な言葉に慰めを見出してくれていたのです。あのとき、
人への言葉、態度がいかに影響を与えるものかということを実感し、嬉しさと同時に身が引き締まる思いも抱きました。
逆に何気ない言葉が相手をひどく傷つけ、不幸にすることだってあるかもしれない。子供の頃、私はクラスの男の子に、
「傷つくことを言われた」と責められたことがあります。自分ではまったくそんなつもりはなかったのに。あのときの私はとても動揺しました。
人に接するときは、できるだけ誠意と優しさをもって正面から向き合わなければいけないということを、時々忘れそうになります。この映画は、そういう大切なことを改めて思い出させてくれました。人間だから間違いも犯すし、時々イヤな奴になることもある。でもやっぱり人を愛する気持ちを忘れないで、誰かのために行動することを厭わない人になりたい。そう思いました。
いかにもアメリカ的ハッピーエンドで、人によっては「ご都合主義」に見えるかもしれません。でも能天気でもいいじゃないですか。笑って泣いて感動しちゃったたほうが、人間幸せなのです。新年スタートの一歩として、いい映画を見れたと思います。おすすめです!
余計なひとこと:物語の終盤に、生きている喜びを改めて知ったジョージの切れっぷりが結構笑えます。テンション高すぎ。これ、今リメイクしたらトム・ハンクスあたりがやりそうな演技だなぁ、なんて思ってしまいました。